IC-703 User Report

 ICOM IC-703を購入するにあたり、ユーザーインプレッションというか、ユーザーレポート、使用記を探したのですがCQ誌にもウェブにもこれといったものが見つかりませんでした。FT-817とはエライ違いです。ICOM、eHam.netのレビューと2ch.netを参考に(あくまでも参考。2ch.netはどこまで信じるか自分の判断次第)、結局購入したわけですが、これから購入しようと考えておられる方のために(かつ、自分のための記録として)使用感を書いてみることにしました。運用が電信中心ですからフォーン関係はまたいずれ…。

 FT-817と比較しているところがありますが、既に817は手元に無いため、感覚的なものです。

※とりあえず思いつくまま書いています。そのうちちゃんとまとめるかもしれません。

→諸般の事情により手放しました。


目次


装備一式

本体&取扱説明書

 本体はFT-817と比べるとかなり大きく感じます(当たり前)。

 取説(って業界用語?)は分かりやすいほうだと思います。ちょっと用語統一が出来ないいないかな?と思った箇所が1,2ありましたが、それでもかなりいい線いってると思います。なお取説はPDFで公開されています。

フィルタの取り付け

 半田付けが必要です。取説には書いていないネジも外す必要あり。詳細はこちら

セパレート

 3.5mと7mのセパレートケーブルが用意されていますが、私は3.5mを使用しています。移動運用を考えると1mぐらいのケーブルも用意して欲しいところです。自宅で運用する際も置き場所の関係でセパレートタイプは重宝します。

 セパレートケーブルを使うとロジックノイズが気になる(使わなくても気になるけど…)ところが残念。

バッテリ

 初回充電時に完全に充電できなかったのか受信だけなのに半時間もしないうちに切れました。一晩充電してからは大丈夫。ちょっとした移動運用ならこれ1本で十分。ALL JA TEST (2004)は4時間程の運用でしたがまだまだ余力があり、翌日も運用出来ました。満充電直後で11V前後(電源SW短押しで確認)、10Vまでは比較的安心して使えます(割と長持ち)。定格の9.6Vをきったあたりからそろそろ予備バッテリと交換する(心の)準備をしておいたほうがいいでしょう。そこからはスグにLOW BATTERYの警告が出ます。

 なおLOW BATTERYの警告が出てもしばらく送受信は出来ますが、チューナーがチューニングしてくれません。また出力が5W設定であっても2.5Wに落とされます。

マルチバッグ

 どうしようか迷ったのですがとりあえず買ってみました。ケーブルを出すための穴があるのがGOOD。徒歩モービルだけを考えるとこのバッグがベストかもしれませんが、物があまり入りませんのでこのバッグで移動先へ…という場合は不向きかもしれません。というより普通に徒歩モービルするだけでも不便です。財布や小さいペットボトルぐらいは入れたいものです。

 実際に使ってみると、ケーブルは(背負った状態で)左側から出してパネルの左側に接続します(右からも出せますがパネルのコネクタが左なので)。そしてバッグ(リュック)から出ている紐にパネルを入れたケースを取り付けるのですが、正面で取り付けようとすると右から出ている紐につけることになります。ということは、リュックを背負ったり降ろしたりするときに結構不便…。これも改善して欲しいところです。

 でも電鍵用のケーブルは上から出すのが一番簡単なので(右下にもケーブル用の穴はありますがキージャックが後部(バッグに入れた状態では上部)にありますから)、結局ケーブルは全部上から出すのがいいのかもしれません。アンテナが右側、ケーブルが左側からになるのでファスナーは半分ぐらいあけた状態になってしまいますが…。


操作・設定編

イニシャルセットモード

 一度設定すれば後はあまり変更しないものはイニシャルセットモードで設定します。これは電源を落として、LOCKキーを押しながら電源ONします。が、これが結構変更するんですよね、私にしてみると。最大出力、サイドトーン音量などがあります。

出力設定

 最大出力設定はイニシャルセットモードなのでちょっと面倒。最大値は10W/5W/2.5W/1W/0.5Wで、さらにL123456789Hと11段階の切替が可能です。

 最大値を変えるとメーターもそれにあわせてMAX=設定値となりますが、目盛りは変わらず5と10しかないので、50%、100%と解釈します。パワーを相手に伝えようとすると(これを信じるなら)0.5Wレンジで0.1W/0.25W/0.5W、1Wレンジで0.1W/0.5W/1W、2.5Wレンジで0.1W/1.25W/2.5W、5Wレンジで0.1W/2.5W/5W、10Wレンジで0.1W/5W/10Wしか送れません。ただしそれも正確ではなさそう…。

 また最大出力は一目ではわからないのも×。私は電源落としてイニシャルセットモードで確認してます(他に方法がある?)。

モード切替/モード選択

 一方向にしか切り替えられないのでCWとSSBを交互に切り替えることはできません。これはFT-817に負けてますね。私の場合、普段はCWとSSBしか切り替えませんので、イニシャルセットモードのMODE SELECTでAM/FM/RTTYは「使用しない」設定にして、実質CW/SSBが切り替えられるようにしています(AMに出る時はメモリーからVFOに周波数を移して)。

CW

 キャリアポイントはLSB側になっているのでUSB側に変更。単にこれまでCW機は八重洲製品(USB側)しか使ったことがなくて慣れないからという理由ではなく、バンドのローエッジから上にスイープした際に、高い音から聞こえてくるほうが認識しやすいため。

 リバースはメニューから選択なのでこれもFT-817に負けてます(817はモードのひとつとしてCWRがあるので容易)。

メモリーキーヤー

 メモリーキーヤーは初めて使います。ちょっと面倒かなぁ。

 設定はダイヤルを使って文字入力。最大50文字で3つしかないのは実際に使ってみると物足りない。自宅用、移動用、CQ用、5NNBK用…などと考えているとせめて8chは欲しいところ。例えば

 おっと、8chでは足りなかった。3の倍数で9chか12chか…。

※"^AR"はAとRを続けて送信します。

メモリー

 99chあるけどグループ分けできないのがちょっと不便(FT-817は出来たと思うけどあまりアクティブじゃなかったので使ってなかった)。次機種でつけるなら1グループあたり最大何件という制限がなければさらにいいですね>アイコムさん。

ハンドマイク

 FT-817のようにUP/DOWNキーがパドル代わりになります。でもFT-817と違ってアイアンビックじゃないので使いにくくて仕方が無い。これは仕様だそうです。なので基本的には使いません。回り込みでどうしてもキー(ジャック経由)が使えないときだけ。

スピーチコンプレッサー

 マイクコンプレッサーでもなくスピーチプロセッサーでもなく、スピーチコンプレッサー(笑)。RIT、Clarifier、冉同様、用語は統一して欲しいなぁ。モードがCW(RTTY)の時はメニューに現れません(かわりに"KEY"メニュー登場)。基本的にこういうものは使わない方がいいと言われていますが、私のように声が小さい人(自分ではそう思わないけどどうやらそうらしい)には必須。

RIT

 スプリット運用のためというよりは微調整用でしょうか。サブダイヤルを回すと10Hzステップで受信周波数が動きます。

DSP

 どういうシーンで効果があるのかよくわからず。

IF SHIFT

 ちょっと混信があるときに。どれぐらいシフトしているかグラフィカルに表示してくれるのが便利。

ナローフィルタ

 混信をさけるときだけでなく、ノイズレベルすれすれの信号を受信する際に重宝しています。

 取り付け手順はこちら

シフト(SYNC)

 この設定をONにするとSSBとCWを切り替えた時にキャリアポイントを変更して信号が聞こえるようになりますが、キャリアポイントをUSB側にしているせいか、モード切替を続けるとCWに戻った時にさらにアップします(元に戻らない)。ただしMODE SELECTでCWとUSB(LSB)だけにしておくと問題ありません。

アンテナチューナー

 SWR 3.0以下のアンテナを使わなければならないそうです。eHam.netでよく報告されているパワーが出ない現象はこれに従わなかったためかも?ためしにSWR 5(!)のアンテナでチューンしてみると最初にカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャと小刻みの激しい音がして不安になるのですがSWR 1近くまで落ちます(まぁもともとそのバンドのホイップだし)。その後はそのデータを記憶するので短時間でチューニングできます。

 ベンチャーのパドルを使っていると、金属部分(台座)に手を触れつつチューンするといいようです。触れずにチューンすると5W出した時に少しSWRが高くなります。触れてチューンした時は、SWRは低いままです(パドル操作時は金属部分に触れていないにも関わらず)。ミズホのポータブル用パドルだと金属部に触れてチューンして、触れて(押さえて)操作したほうが良いようです。また周囲の影響やケーブルの位置も関係しているかもしれません。アースやカウンターポイズなしというのも影響しているでしょう。この辺りは試行錯誤が必要かもしれませんね。

 あくまでも調整したアンテナのSWRをさらに落とすといった用途に使うもの。間違ってもICOM AH-4やSGC SG-230やSG-239のような屋外型のような性能を期待してはいけません。

ブレークイン

 どこかで「リレー音がうるさい」と読んだ覚えがありますが、それほどでもありません(FT-817よりマシ)。バッグに入れるとほとんど気になりません。


トラブルシューティング

回り込み対策

 困ったのが回り込み。パドルを操作すると勝手に長短点が出ます。メモリーキーヤーは送信が止まるし、液晶は別の画面が出てくるし、アンテナチューナーも動作しない。サイドトーンも濁ったような音だったりエコーがかかったような音になったり。

 ローカル局やアイコムのサポートにアドバイスを貰って、フェライトコア、シールド線、その他諸々試しても全く効果なし。結局海外のIC703メーリングリストを参考に、『キーのGNDを本体のGNDに接続』すると嘘のように解消しました。試しにキープラグのシールド線と本体のGND端子をつないでみて(普通に導線でつないでみます)効果があれば対策を施しましょう。詳細はこちら

ロジックノイズ

 ダイヤルを回すたびにノイズが発生します(ロジックノイズ。仕様)。セパレートケーブルを使ったりアンテナを直結するとよりひどくなるように思います。FT-817にもありましたがそれよりもひどいような気がします。プリアンプを入れて局を探しているとピーク(周波数によって異なる)でS7ぐらいのノイズになります。これでは弱い局は見つけられません…。これはアースが取れていると問題ないレベルまで落ちるそうです(アイコムのサポートによると)。アンテナの違いや人体アースでノイズレベルの違いを確認しました。でもいまどきの無線機はこういうものかもしれません。IC-703のそばでVX-7のダイヤルを回すと思いっきりノイズが出ますから…。

電源が入らない

 海外のメーリングリストによると「バッテリの電圧は10V以上なのに電源が入らない」というトラブルがあるそうです。これはコントロールパネルを本体から取り外して数分待ってから取り付けると解決するそうです。

 


その他

物足りない/不満なところ

サポート

 アイコムのウェブ(購入前)やメール(購入後:iUSE(アイ・ユーズ))で問い合わせるとすぐに回答がありました。好印象。


Copyright (c) 2004 by JL3AMK.org. All Rights Reserved.